カメラの交換レンズには、メーカー純正品とサードパーティ製と呼ばれる非純正品の二種類があることは、カメラ好きな皆さんなら説明するまでもない事だと思います。そんなサードパーティレンズでお馴染みのSIGMAというメーカー、実は各社の交換レンズのみならず自社でデジタルカメラ本体も製造しています。
一眼レフ・ミラーレス一眼タイプのSDシリーズとレンズ一体型コンパクトデジタルカメラタイプのDPシリーズ。どちらもSIGMAでしか使えないイメージセンサー、「Foveon X3」を搭載したカメラとなります。そのFoveon X3センサーも代を重ね3代目。今回は最新のFoveon X3センサー、ジェネレーションネーム「Quattro」の魅力と、SIGMA初のミラーレスカメラ「SDQuattro」についてお話していこうと思います。
イメージセンサー
まずはイメージセンサーのお話から。
このFoveon X3センサーは、米国のベンチャー企業Foveon社が開発したイメージセンサーです。SIGMAはこのFoveon社を傘下において、デジタルカメラの分野では唯一のFoveon X3センサーを採用するカメラを開発しました。センサーの特徴を簡単に説明するならば、通常のベイヤー式と言われるイメージセンサーが一枚の受光面でカラーフィルターを通し色を分離して電気信号に変えるのに対し、Foveon X3はR(赤)・G(緑)・B(青)それぞれを感知する専用のセンサーを三層に積んで、透過する光の色成分を電気信号に変える方式をとってます。
今でこそ解像感が高いという事で、各社ローパスレスのカメラを発表してますがFoveon X3センサーは構造上ベイヤー式に比べ収差も偽色も出にくい為、昔からSIGMAのカメラにはローパスフィルターはありません。SIGMAのカメラと言えば高画質・高精細が売りで、それはこのFoveon X3センサーがもたらすものに他なりません。
但し、このセンサーにも弱点があって、最大の弱点は高感度撮影ができない事。
カメラ自体での高感度設定はISO6400まで設定出来るのですが、実際に使用できるのはISO400まで。それ以上になるとノイズが盛大に発生してしまいます。
独特なフォルム
SDQuattro、一見してなんとも独特なフォルムです。
ミラーレスカメラといえば今時のカメラ女子にも人気のジャンル。
クラシック調のお洒落なカメラや、小さい・軽い・かわいいの三拍子揃ったミラーレスが女子受けするのではと思われるのですが、このSDQuattroは全く逆の路線。いびつに切り取られたような底面、長方形の箱のような本体にレンズマウントとグリップをペタペタとくっつけた様な形は、カメラという呼び名すらお洒落な、どちらかと言えば撮影機材とでもいいましょうか、無骨な形をしています。
この一見すると非常に使いにくそうな形、ところがこれが不思議な事に手に持ってみると意外と持ちやすく使いやすい。グリップの形状が女性にはちょっと大きいかもしれませんが、大人の男性であれば丁度よい感じだと思います。少々重いレンズを付けていても片手でホールド出来る秀逸なグリップです。
形については意外と気に入っている私ですが、一番残念なのがこのレンズマウント。
せっかくのミラーレスなので、この機会に是非にもフランジバックを短くしてほしかったですね。現在のマウントであればアダプターを介して使用する事が出来るレンズはM42マウント位で、CANONやNIKON、ヤシカ・コンタックスなどのオールドレンズを使う事は出来ません。マウントの出っ張りを切り落として、自社のレンズを使用する際は電子接点付きの純正アダプターを使うような形にしてもらえたら、もっとレンズ選びの幅が広がったのではないかと思います。Foveon X3センサーにヤシコンのCarl Zeissレンズなんて夢のような組み合わせが出来たかもしれないのにと思うと、本当に残念でなりません。
現像ソフト
さて、このカメラの真の実力を発揮させる為のもう一つの要素、それが現像ソフトです。SIGMAからSPP(SIGMA Photo Pro)という専用の現像ソフトが出ており、このカメラの本領を発揮するにはX3Fという形式のRAWにて撮影&SPPでの現像が不可欠です。
更に露出を換えながら7枚の写真を撮りそれらを重ねるという、いわばHDR合成的な手法による撮影モード、SFD(Super Fine Detail)機能で撮影した写真(X3iフォーマット)の現像もこのソフト無しでは行うことは出来ません。
実は本年春のアップデートで、SDQuattroもDNG形式のRAWフォーマットに対応しました。これでようやくADOBEのLightRoomなどで直接現像できるようになったわけですが、しかしながら私はSDQuattroの撮影にはDNG形式のRAWフォーマットを使用するよりもX3F、若しくはX3iフォーマットでSPPにて現像、Tiff形式で出力したものをLightRoom等でさらに調整をかける事ををおすすめします。このSPPにはFoveon独自の肝とも言える現像パラメータであるX3 Fill Lightというのがありまして、このパラメータは他の現像ソフトでは調整出来ないからなのです。
画質の素晴らしさは天下一品!
X3 Fill Lightパラメータを下げて幻想的な雰囲気を出した彼岸花の作例
X3 Fill Lightパラメータを上げて解像感をより高めた神社の作例
今時のカメラでいえばあたりまえの動画撮影機能はおろか、チルトやタッチなどの便利な機能が付いたモニターもありません。高感度に弱く常用感度の上限はISO400までで連写も遅くAF性能やモニターの精細度も10年位前のカメラと同レベル。一枚撮影するのにそこそこ時間がかかる・・等、機能においてはマイナスポイントが多すぎて、とてもとても人におすすめ出来るカメラでは無いのですが、それを全て一発でひっくり返す画質の素晴らしさをこのカメラは持っています。
まとめ
この記事を読んで、SIGMAのカメラに興味を持たれた方がいらっしゃいましたら是非お試しください。万人にお勧めできるカメラではありませんが、使いにくさや苦労があっても画質をとことん追求したいという方には、きっと応えてくれるカメラであると思います。
SIGMA SD Quattroをレンタルしたい方へ
Anyble(エニブル)では個人間でいろいろな”モノ”が安心してレンタルできます。商品は100%保証なので、汚れ、破損の心配は必要ありません。
貸したい人は、何回も貸し出すことによって継続的な収入が得られます。
借りたい人はレンタルショップよりも格安!で個人から借りることができます。
SIGMA SD Quattroをレンタルしたいという方はこちら↓